新築入居から数年が経過すると理事会にペットの飼育に関する苦情が寄せられるようになりました。当時の規約では「他の人に危害を及ぼす動物は飼育できない」という規約になっていました。
「ペット飼育禁止だからこのマンションを購入しました」「そんなに大事なペットなら飼育できるマンションに引っ越していけばいい」「不動産屋さんから明確に禁止とも言われず、現にペットを見かけたので購入しました」「大切な命を殺せと言うのですか」等ペット飼育に関して議論が白熱し、理事会として決断を迫られ、「一代限り」を容認する使用細則の議案が上程、臨時総会で承認されました。
輪番制ということもあり、その後の管理が明確でなかったため、ペットの飼育が本当に一代限りで行われているのか、新規の飼育者はいないのか、定かではありませんでした。そして理事会にもペットに関する苦情が再び寄せられ、管理できていない現状を踏まえて、対応が議論されました。
翌年、ペット飼育の現状アンケートが実施され、ペット飼育の実態が明らかになりました。一代限りの違反者も含め、飼育者の団体を作ってもらい、当事者がどのようにしたいのか、どのように解決すべきか議論してもらいました。
その後、ペット飼育者の団体から理事会に寄せられた要望は
①一定期間の一代限りの使用細則の凍結
②正式に団体を発足させ、ペットの苦情に関する処理や飼育に関する教育・情報交換会を定期的に開催し、管理された状態でペットの飼育が可能なマンションにしてほしいということでした。
次の年、臨時総会で一年間の一代限りの使用細則の凍結と飼育の団体活動が承認されました。「団体として民主的な運営ができること」「ペットに関する苦情処理と管理ができること」の二点の活動を一年以上みて、理事会で判断することにしました。一年半後の定期総会で使用細則の変更が上程され、飼育者の団体に必ず加入することを条件に飼育が可能なマンションになりました。
二年後、今までよりもしっかり管理できていることが確認できたため、定期総会で条件付きのペット飼育が可能な管理規約が承認されました。
このマンションの場合、ペットの飼育者ではない住民が賛成者や反対者のご意見をよく聞き、双方のクッションになったことと粘り強く問題を解決しようという意志の持ち主であったことが大きなポイントでした。
ペット問題でお困りのマンションは先送りせず、時間をかけて議論することから始め、自分たちで確認しながら決めることが大切です。