開放廊下を少なく、エレベーターのスキップ方式を採用しているマンションは、専用階段を使用させることで居住者に「個」を意識させ「マンションは鍵一つで出入りができ、安全で周りの人から干渉されずに都会的生活が満喫できるところ」「お互いに干渉しないのがステータス」という風潮が中心となっていた時代に販売されました。
平成7年の阪神・淡路大震災でコミュニティの良い多くのマンションでは、合意形成ができ、建物の復旧も早かったという実績が示されました。そして、マンションの管理運営にコミュニティが重視されるようになり、平成16年の標準管理規約改正でコミュニティの形成が追加されました。
現在のマンション居住者を大胆に分類すると「集まり住むことを大切に考え楽しみ、周りの人々と積極的に接触を持ちたい人」2割、「人との接触をなるべく避けたい人」2割、「人と積極的に接触はしないが、避けることもしない人」6割ではないでしょうか。
積極的に接触を持ちたい2割が、人と積極的に接触はしないが、避けることもしない6割に働きかけることでマンションのコミュニティが大幅に改善されます。6割の人はキッカケさえあれば合流できます。その第一歩が挨拶です。居住者同士が自然に「おはようございます」「こんにちは」「こんばんは」の挨拶ができるようになれば、コミュニティの基盤はでき始めていると思います。
その次に全体的に行う「夏祭り」「ビアガーデン」「もちつき大会」「防災・炊き出し訓練」等のイベントに「趣味の集まり」「年代別親の会」「女性・男性の会」等、共通項目で参加しやすい集まりがプラスできれば、複数の集まりに参加している人が核となり、継続的な働きがけと共に点から線に変化することができます。多様な考え方が存在しているマンションで「イザ」という時に話し合いができる環境にあることがコミュニティの良いマンションで、そのために顔見知りになることが大切です。
東京都ではすでに指針が示されていますが、新築マンションを販売する場合、「お互い様」の精神を中心にした、集まり住むために必要な心構えの講習を販売と共に実施する必要があると思います。
コミュニティの良いマンションは近隣との付き合いもうまく行き、生活上のトラブルが少ない。理事等の役務を断ることが少なく、平等に引き受ける姿勢がある。住み良いので永住志向が強く、売り物件が滅多に出ないので、市場価格は上昇傾向になります。住んでいる区分所有者の心がけがマンションの資産価値にも影響を与えます。
「どのような方法でコミュニティの良いマンションにするか?」は、マンションによって異なりますが、話し合いが環境作りの第一歩です。