【基本的な考え方を話し合う】
震災発生の可能性が大きくなって来ています。震災は起きないと考えている人、震災が起きた時考えればいいと思っている人、問題を直視したくない人等、マンションにはいろいろな人がいるのも事実ですが、発生してからの対応では遅いことは明白です。
「震災発生時どうのようにするのか」基本的な考え方をなるべく多くの人が参加して話し合えるように繰り返し企画・周知することが大切です。
【基本的な考え方の広報が大切】
収容人数と避難所利用対象人数を明確にして避難所の状況を説明し、プライバシーの問題も考えて震災後もマンションで居住することを選択して、準備を進めることを周知する。
【発生からライフライン復旧まで】
<発生から3日間>
生存率は時間との戦いと考え、安否確認の取れない住戸(外出・帰宅困難者等)に対する確認方法を事前に決めておく。管理人室や在宅率の高い住戸の固定電話番号を住民に公表(年間費用の一部補助も検討)し、外出していた人は2日以内に電話連絡して安否が確認できるようにしてもらう。または予算を計上して登録すると自動的に安否確認を行ってくれる「ITシステム」の導入を行うことです。連絡がない場合は事前に決めた部分を破壊し、複数の理事立会いのもと、内部を確認する(復旧費用の負担も事前に決めておく)。
<物資の配給が始まるまで>
帰宅できない親がいた場合、その子供たちへの配慮・炊き出し、物資の持ち寄り等で協力してしのぐ(食糧の備蓄は各自3~7日分を基本とする)。
<物資の配給が始まってから>
避難所からの輸送方法を決めておく。各戸の人数をボード等に書き出して人数の変化があった場合、すぐに対応できるようにしておく。
<ライフラインが開通するまで>
不自由な生活だが、一定のパターンができてきた時期。ライフライン開通後安否確認のため入室した住戸の改修方法等を計画して実行する。
【居住者人数の把握】
居住者数の把握は大切なことですが、個人情報ということでなかなか進まないのが現実です。例えば、管理組合で予算を計上して、数年かけて一定時期に簡易トイレの配付を人数分無料で行うことで震災時に各戸が使用できるトイレを各戸で備蓄でき、同時に人数の把握もできる一つの方法ではないでしょうか。
<管理会社との事前協議>
震災は従来の業務を大幅に超えることが予想されるので、管理人がいる場合、その対応について事前に管理会社と協議をしておくことをお勧めします。
<行政への働きかけ>
一定の規模、自治会組織がある等の条件で避難所に申請した数量の物資がマンションで受け取ることができるようにねばり強く要請してみる。
【家具転倒防止の徹底にはキャンペーンと個別相談が効果的】
集まり住む利点を生かして期間限定で集中して施工する。施工前に複数の理事で各戸を巡回して個別の相談に応じることや期間中に施工する専門家に直接相談できる機会を作ることでさらに効果が上がります。
【排水と電源の確保ができなければ住めない】
震災発生時に敷地と公道の境界線に段差が起こる場合が多いので予備の排水管や変芯継手等の確保(工具類は発電機・電動ドリル・ツルハシ・スコップ等)が必要。また、集会室を緊急避難場所として蓄電・太陽光設備を配置、雨水を利用したトイレ設備と組み合わせてマンションで電気・エアコン・トイレが使用できる場所を確保し、居住者が交代で休める場所にすることも一つの方法です。
<排水安全確認方法>
系統別に下階から順次階数ごとに色を決めた色水を流し、排水テストで安全を確認してから各戸で使用することを事前に決めて確認できるまで使用しない事を周知しておくことです。
【管理組合が防災活動に必要な備品例】
地域・立地により異なりますが、備品の一例をあげてみます。
バール、ジャッキー、トラロープ、のこぎり、ナイフ・ハサミ、つるはし、脚立・はしご、担架、毛布、救急医療品等、発電機、組立式仮設トイレ、台車・リヤカー、災害用炊き出しセット、ポリタンク、携帯ラジオ、懐中電灯、ヘルメット、トランシーバー、模造紙、筆記用具、軍手、掲示板(ホワイトボード等)、投光器、延長コード、コンパネ、角材各種、針金、くぎ各種、ブルーシート、テント、色旗など。
備品購入等まだ決めておくことがたくさんありますが、震災時にマンションに残っていた人だけで出来る様にやるべきことを一つひとつ話し合いで決めて、周知することが大切です。