標準管理規約では「理事長は管理組合員名簿を作成して保管し、管理組合員や利害関係者から請求があった場合、閲覧させなければならない」となっています。
また、「組合員の資格を取得・喪失した者は、直ちにその旨を書面により管理組合に届け出なければならない」ともなっています。
ところが管理会社に全部を委託している管理組合では、新たに資格を取得した組合員は、売買契約時の話の流れからか管理人さんを通じて文面で直接、管理会社へ提出しています。
そして、マンション標準管理委託契約書第14条にあるように管理会社が窓口となっているので、売却を考えている組合員が依頼した不動産屋からの問合せで資格を喪失するだろうという情報も伝えられます。このように現状では、管理組合を飛び越えて組合員の資格取得・喪失について管理会社に情報が集中しています。
組合員も輪番制で入れ替わる理事会よりも管理会社なら情報を伝えてもよいと考えている人も多いようです。実際、資格取得・喪失の手続きは管理組合を通すより早く処理でき、個人的な情報も限られた人のみで済むという利点もあります。現在、理事長の手間を省く方法で、すでに実施されているこのような進め方を管理規約通りに直すべきだとは言いません。
どこでも理事長は、理事会以外にも運営上の判断をしなければならない場合もありますし、理事会で承認された出金手続きなどの業務もあるため多忙です。そして、さらに管理規約にあるから組合員名簿を作成して保管すべきだとは言えないと思います。
通常では閲覧についても管理会社が対応してくれますので、なんの問題も起こらない体制になっています。
しかし、震災が発生した場合は状況が少し変わってきます。管理会社も直ぐに対応ができず、マンションにも来られませんし、連絡も取れないことが予測されます。自分たちで組合員や居住者の安否確認を進めていく必要があり、それには必ず名簿が必要になります。
震災に備えて名簿を更新する方法としては、現状の仕組みを変えない方法として次のような仕組みを検討してはいかがでしょうか。
通常(定期)総会実施月に連絡先の変更を確認して毎年更新した名簿を管理会社の封筒に入れ、封をして管理組合へ提出してもらいます。それを鍵のかかる書庫等で保管することを事前に話し合い実行していきます。
そうすれば、「震災などのいざ」という時に更新できている名簿が活用でき、必要が無ければ封を切らないため、輪番制の役員に情報が知られる心配はありません。
名簿を毎年更新して整備する方法について管理会社と一度話し合うことをお勧めします。