12年~18年周期で行われる大規模修繕工事に関しては、工事の構想から完成までを計画立案するには専門的知識が必要であり、長時間の検討を要することや合意形成と手続きに時間や手間を要します。また、多額の修繕積立金を使うことから、理事会を補佐する専門委員会を多くのところで設けています。修繕の知識が豊富な方・関心のある方や理事経験者等が集まっている例が多くみられます。
理事会は業務執行機関として通常業務で多忙な状況のことが多く、理事会開催時だけでは十分な検討ができず、良い結果が期待できない場合があるので、理事会を補佐する組織として大規模修繕工事委員会を設置し、検討してもらえれば理事会の負担を減らすことができます。
大規模修繕工事委員会を設置すると組織が増え、意見の集約ができず、合意形成が難しくなるという運営上の問題が新たに生じることも考えられますが、大規模修繕工事委員会の設置方法、委員選任の方法、委員会の役割や目的、委員会の存続期間等を大規模修繕工事委員会細則に定めておくことで問題が生じることが少なるなると思われます。設置の手続きとしては、標準管理規約第55条と同じものが管理規約にあれば、理事会がその責任と権限の範囲内において、特定の課題を調査または検討するための委員会を理事会の決議で設置できます。
大規模修繕工事委員会は、輪番制の役員任期より長く在任していると情報量も多くなり、本来は理事会で承認後に進めるはずのことがいつの間にか話の方向性が決まっていて理事会承認が形骸化されてしまうこともあります。
大規模修繕工事委員から見て、輪番制理事に専門知識が不足している場合があっても総会で選任された理事で構成されている理事会に分かりやすい言葉で説明して、理解を深めてもらい審議や決議に協力することも専門委員会の役目となります。
大規模修繕工事委員会と理事会は、全体のバランスを考え、マンションを今よりも良くしょうという考えで、30年~40年後の将来に向けて、どのような管理体制で、どのような修繕・改修が必要か、マンションのあるべき姿の将来像を共有して、議論を重ねることが大切です。それには丁寧な説明と手順を踏んで、お互いの立場をリスペクトして進めることが必要です。