多くの管理組合で理事は、輪番制をメインに総会で選任され、理事長は理事会で選任されます。「理事には就任しますが、理事長だけはいや」という声が圧倒的に多いようです。
たくさんの理事長さんに出会いましたが、それぞれ工夫を凝らして運営されています。今回は特に印象に残っている三名の方をご紹介致します。
最初は、大規模修繕工事を実施する年に理事長になられた方で、大規模修繕委員会も設置されていました。通常の年とは異なる運営になり、ヒートアップ気味に進んでいたとき、理事長さんが提案された輪番制理事への心得です。
1. 修繕を最大限重視、完成後のリフレッシュした住まいのイメージを共有する
2. 理事会として、他のオーナーが大きな不満を抱かない程度に、他のことを進める
3. 役員の個人的な生活や時間と労力を理事会などに充てることを極力少なくする
4. 互いに重い仕事を、背負い込まない、押し付けない
理事会・大規模修繕委員会のバランスを取り、上手く運営され、無事に工事を完成させました。
次の方は、話し合いを重ねた結果、やむなく管理会社の変更を決意され実行された方です。
管理費・修繕積立金の額や管理方法をめぐり、管理会社の説明に将来の不安を感じ、頼って来られました。
「役員の皆さまが一丸となって区分所有者の意見をまとめることかが重要です」と最初にお伝えし、現地確認から管理会社のノミネート・プレゼン・選定とお手伝いさせて頂きました。
理事長さんをはじめ理事の方が外部所有者も含めた区分所有者のお宅に時間をかけて一軒一軒回り、現状をお話になったことで、日に日に皆さまの管理に対して関心が高まり、賛同を得ることが出来ました。
最後の方は、長期修繕計画書と今までの工事実績金額を表にまとめて次回の大規模修繕工事とその次の大規模修繕工事まで金額の予測を示し、「担当年にどのようにすべきか」理事会で皆さまにお話され、職種や経験の情報を基に同じ目線で担当をお願いし、実施すべき項目を進められました。長期修繕計画書との照合は、本来なら管理士がアドバイスする範疇ですが、意識の高い方なので自ら理事の皆さまにお話しされました。
今回ご紹介した三名の理事長さんは、「マンションを今以上に良くしたい」という気持ちが強く、「私が……」ではなく「みんなで……」という意識で、「がんばってください」ではなく「がんばりましょう」という進め方が共通しています。自分の置かれた状況を見きわめ、どの様にみんなで行動すれば良いか考えることが出来る方々の例でしたが、管理に携わる者として頭の下がる思いを感じました。