管理組合の業務の一つに共用部分に損害保険を掛けること(標準管理規約第32条七)があり、管理費の充当項目(標準管理規約第27条五)でも認められています。
平成30年のマンション総合調査では、掛け捨て型火災保険に加入しているところが58.5%、積み立て型火災保険(現在は廃止)に加入しているところが30%で、合計88.6%の管理組合が保険に加入していました。
掛け捨て型火災保険の加入で一番多いのは、5年間の支払いが確定出来る「5年一括支払い方式」だと思われます。
損害保険料率機構(事故が発生したときに保険会社が支払う保険金に充てられる純保険料率を算出するところ)が大規模な自然災害の影響を踏まえて、住宅総合保険の火災保険参考純率について全国平均で来年10.9%引き上げられると発表しました。
火災保険参考純率は使用義務のない参考数値であり、そのまま使用する/修正して使用する/使用せず独自に算出する等、保険会社の判断により異なりますので、契約保険会社に商品の確認が必要です。
損害保険料率の引き上げのもう一つの要因は、築年数の経過したマンションが多くなり、給排水設備等の老朽化による影響で、水濡れリスクや台風・大雪などによる破損リスクが総じて増加している点もあげられます。
2019年10月に損害保険料率が平均で20%あがることが分かった時点で、保険の残存期間があった組合も途中解約して、新たに5年契約に入り直した管理組合も多かったと思います。
あれから2021年1月に15%、2022年に10.9%(来年予定)と3回の引き上げになり、さらに事故請求回数(期間は更新時から2年半前から半年前の間)で0.7~1.4倍加算されるようになりました。2019年9月以前に加入し、今までの様に何でも保険請求したところでは、次回の更新時には20%、15%、10.9%の3回の値上げと1.4倍加算されることから、損害保険料率は前回と比べて高額になると思われます。
管理組合が今検討することは、①10.9%値上げする前後の損害保険料率の見積もりを取得して差額を確認する②対象期間の保険請求回数実績の確認③次期契約する保険の免責金額の引き上げにより支払う保険金額の引き下げに繋がるかの3点をシュミレーションして、どの様にするか結論を出すことです。
そして、今後の保険請求判断について、管理組合の保険を使用する場合は免責金額の個人負担や何でも保険請求するのではなく、少額(例えば〇万円以下と決めておく)の改修の場合は保険請求せずに組合の修繕費で賄う等、ルール化しておくことをお勧めします。