マンションは一つの建物に多くの区分所有者が共同生活しています。そのため、色々な価値観・家族構成・利用方法が混在していて、建物・設備を維持していくのに必要な技術的判断基準や合意形成に課題を含んでいます。
多くのマンションで長期修繕計画はありますが、実際に見直し・議論されるのは、大規模修繕工事の時期、つまり12年毎というところが多いのではないでしょうか? 快適な居住環境の確保と資産価値の維持・向上を図るためには、長期修繕計画を作成し、適切な時期に見直しが行われていることが大切です。
長期修繕計画作成ガイドラインでは、既存マンションは25年間の計画、つまり大規模修繕工事が2回入っていることが条件になっています。技術革新や製品開発で値段が変わる可能性が大いにあること、計算基礎の単価も同じような理由で予測になっていることを加味して「おおよそ」であり、計画の後半がマイナスになっていてもそれだけて一喜一憂、議論を戦わせることは、不毛の戦いといえます。
築年数によって異なりますが、次回の大規模修繕計画までの計画がしっかりできていること、区分所有者の希望がある程度盛り込まれていること、最新のマンション建設の技術・設備が考慮されていること、多額の費用を要するエレベーター、ライフラインの管や線、玄関ドア・サッシの交換が項目に入っていることなどがチェックポイントです。
そして5年ごとに専門委員会を立ち上げて、アンケート等を実施して区分所有者の意向を確認しながら、しっかりと計画の見直しを実施することが大切です。この時は専門家に依頼してアドバイスをもらうことも考えましょう。
輪番制理事により理事会が運営されているところでは、長期修繕計画に予定されている項目を調査して必要・不必要と適切に判断して、その結果を次期担当理事に引き継いでいきます。
毎年の事業計画も長期修繕計画を中心に組み立てて予算化、実施する場合は、何社かに相見積もりを依頼してコストダウンを図りましょう。管理会社以外に工事を発注しても管理会社が工事の調整をすることが業務になるように管理委託契約書を変更しておくことも大切です。
輪番制理事の役割は、適正な時期に見直しをされている長期修繕計画を中心に着実な運営を行うことです。