令和5年のマンション総合調査では、長期修繕計画を5年ごとに見直しをしているマンションは63%、大規模修繕工事の直前に見直しているが9%、大規模修繕工事の直後に見直しているが10%あり、合計で82%が期間は異なりますが見直しを実施しているという結果でした。
30年間の長期修繕計画で、修繕積立金徴収金額が計画に対して不足していない、つまり黒字の計画となっていると回答したマンションは39.9 %、不足している、赤字の計画となっているマンションは36.6%で合計76.5%でした。長期修繕計画の見直しを実施している合計82%と一致しない結果となっているのは、見直しをしているにもかかわらず、最終年度の結果を不明と回答したところが23.5%あったからです。これらは修繕費用が高騰していることを踏まえていない結果だと思います。理事会では早急に対応することが求められています。
長期修繕計画の最終年度が黒字の計画となっているマンションでも項目を確認するとガイドラインでは、36年周期で更新するとされているアルミサッシュの更新が計上されていないマンションが多くあり、築20年を超えているマンションではアルミサッシュの更新が計画に計上されているかチェックして、計上されていない場合は計画に計上して修繕積立金額も見直しする必要があります。
国土交通省は長期修繕計画を5年ごとに見直し、均等積立方式を推奨していますが、見直しのたびに値上げが必要となるマンションは、計画上は均等積立方式としていても結果的に段階増額方式と同じという見方も出来ます。
また、長期修繕計画は、合意形成しやすいように将来の計画を概ね決めておくことが前提となっていますが、最近調査に行ったマンションで総会議案の一つに計画修繕に伴う修繕積立金の取崩しとして、その期に計画されている修繕項目を金額も長期修繕計画に記載されているものをそのまま列記して、一括承認を受けて後は理事会で必要に応じて進めて行く方法を取っている議案書を見かけました。確かに概ねの時期と金額は承認されていますが、実施時期には項目ごとに承認してもらうことが前提のはずですが、相見積もりも実施していない段階で項目と金額を承認してもらうとした粗い議案だと思いました。
やはり、項目の状態を調査した結果、必要と判断した場合は、前期の段階で複数の業者から見積もりを取得して、理事会で施工会社を決めた上で、工事内容、金額、施工時期、施工会社を議案として上程の上、承認してもらうという丁寧な進め方が必要だと感じました。皆さまの管理組合の運営は、どのようになっているか、確認してみてください。