機器や部品の交換が必要になった場合、見積りに製品代と共に必ず交換工事費という項目が記載されます。交換するものによりますが、工事費の単価を記載して、交換個数分を掛けて合計金額を記載する場合と、一式で合計金額のみを記載する場合がありますが、工事項目を細分化して請求して来る業者もいます。項目ごとに単価を付けて請求される場合は、一般的には合計交換工事費が高くなるケースが多いようです。
具体的な事例で見積りのチェックポイントをみてみましょう。
1. 消火栓ホースの場合
消火栓が設置されているところで、10年が経過するとホースを交換するか、3年ごとに耐圧試験を実施するか、判断をしなければなりません。
① ホースすべてを交換する見積りを取得する(製品代と交換工事費を確認する)
② 3年ごとに耐圧試験をした場合の見積りを取得して、3倍して①と比べてみる
(耐圧試験の単価を確認する)
③ 連結送水管があれば、耐圧試験時期を合わせて同時に実施すれば、さらに安価
(単独実施と比べると基本料が安くなるので、基本料金単価を確認する)になるのでその条件の見積りも取得して比較する
管理会社は、①を勧めることが多い(①しか見積りを提出しないで、選択させない場合も多くあります)のですが、①~③を要求して比較検討して判断しましょう。
2. サッシュの部品交換の場合
サッシュ業界は、2006年から2009年にかけて各社新製品を発売し、従来品と比べると気密性・遮音性・安全性が飛躍的に伸びました。長期修繕計画のガイドラインでは、36年周期でカバー工法による交換を推奨しています。
しかし、残高不足と状態の良さから部品交換で先延ばしするところもあります。あるところで、81カ所の戸車、クレセント、気密ゴム、ハンドルを交換する見積りが提出されました。部品ごとに取付施工費計上され、合計金額は2,806,000円になりました。
戸車、クレセント、気密ゴム、ハンドルを交換する人は同じという理由から、作業延べ人数に単価をかける人工計算での見積り提出を求めたところ、一日に実施できる作業件数から14人工となりました。すると取付施工費は560,000円となり、2,246,000円を減額することができました。
実施について検討した結果、部品交換ではカバー工法の更新と比べて気密性・遮音性・安全性のクオリティーが低いと判明したため、今回は部品交換して延命することは見送りとしました。
3. インターホン更新の場合
インターホンの更新時期がきた180戸のマンションです。既設機器撤去費990,000円、機器設置費5,544,000円、機器試験調整費990,000円、合計7,524,000円が提示されました。積算価格を基に金額を出したとのこと。工期と交換作業者数を聞いたところ、18日間で作業者は3人一組2チームで行うとのことでした。見積りには現場管理費(巡回による管理)と一般管理費が別に計上されていることから、交換にかかる費用を延べ人数で割ると7,524,000円÷108人≒69,666円となり、一日一人当たり約70,000円になりました。
労務費等を考慮しても一日一人当たり55,000円とすると108人工で5,940,000円となり、1,584,000円の差額が出ました。減額の交渉を続けた結果、値引きと製品代で1,867,360円の値引きの提示を引き出すことができました。交換費の合計金額と一日当たりの人工費を比較して妥当かどうか確認することも一つの見方です。
交換作業はどの様な方法で実施され、どの位の時間と人数が必要か、作業する場所は高所、狭い、手だけしか入れられない、広い、暗い、明るいといろいろな作業状態があり、環境により交換費用が異なる場合があります。このような点から交換費用の妥当性や工事方法を確認することが大切です。