マンションの専有部分間において、最も頻発するトラブルは騒音問題です。実際に相談に訪れる方は多く、深刻に悩まれているため、複数の窓口を渡り歩いているケースも散見されます。
しかし管理組合運営を支援する立場であるマンション管理士にとっても、決定的な解決策を提示しにくいジャンルといえます。周知の通り、共用部分を管理する管理組合は、専有部分間のトラブルには深く介入できないのが現状だからです。
管理会社も同様で、対応は「注意喚起文の掲示」や「各戸への配付」にとどまるのが一般的です。担当フロントマンによっては、被害を受けている居住者の情報を元に、発生源とされる住戸へ確認の連絡をしてくれることもあります。しかし、そこまで踏み込む担当フロントマンは限られており、専有部分間のトラブルは当事者同士(相対)で解決するのが基本原則です。
もし管理組合や管理会社に注意喚起を依頼する場合は、文面に具体的な状況を記載してもらうことをお勧めします。例えば「発生する時間帯」「音の種類(子供が走り回る、扉を開閉、物が落ちる等)」「音の響き(キーン、ギィー、ドンドン、カンカン等)」を担当フロントマンに詳細に伝え、反映してもらうのです。無意識に音を出していた方が、文章を見て改善した例もありました。ただし、掲示物や配付物を確認せずに処分してしまう住戸が発生源だった場合、注意喚起は空振りに終わってしまいます。
また、建築年代によって、床のコンクリート(スラブ)厚は大きく異なるからマンションの構造(遮音性能)を知ることも重要です。まず、竣工図書の閲覧を申請し、自室の構造を把握することから始めましょう。図面が確認できない場合は、次の建築年代別の一般的なスラブ厚(単位:mm)の状態を目安に対策を講じてください。
・1970年以前 120~150 リフォーム時の遮音対策が推奨されるレベル
・1980年代 150~180 音に敏感な方には厳しい厚み
・1990年代 180~200 標準的な厚みに移行した年代
・2000年代 200~250 遮音性が向上した年代
・2010年代 210~270 高い遮音性が期待できる年代
・2020年以降 300前後 非常に優れた遮音性能の年代
築年数が経過した物件の場合、発生源を特定して争うよりも、専有部分の内側に防音・省エネ対策を施す方が解決への近道となる場合もあります。
漏水トラブルに対応できる業者は多い一方で、騒音問題を改修で解決できる専門業者はまだ少ないのが実情です。今後こうした専門サービスが普及していくことを期待します。