管理費用の値上がりが止まらない。多くの理事会で、管理会社のフロント担当者が値上げの要請をしている場面に遭遇します。今年1月から「中小受託取引適正化法、通称:取適法」が施行されています。こうした法改正の流れもあり、管理会社は協力会社からの値上げ要請を従来のように抑え込むことが難しく、管理組合と交渉せざるを得ない状況にあります。協力会社も働き方改革の影響により、有給休暇の確実な取得が義務付けられ、特に小規模な会社では人員を増やさなければ業務が回らなくなっており、これが価格上昇に直結しています。
また、最低賃金の引き上げに伴う人件費の高騰も大きな要因です。東京都の最低賃金は、2016年の932円から、2025年には1,226円と、近年は毎年のように上昇しています。2016年と2025年を比較すると約1.32倍です。2030年までに給与所得をさらに引き上げる方針を掲げる政党もあり、何らかの対策を講じなければ、管理費徴収額の値上げは避けられない状態になって行きます。
新築時から管理委託契約の基本である「仕様書」を見直していない場合、人件費の上昇がそのまま管理費用に跳ね返ります。例えば、管理員の業務に「クリーニングの受付」や「宅配便の発送取次」など、本来個人で対応すべき内容が含まれているケースもあります。
また、ゴミ出しルールが守られていないマンションでは、その対応に管理員の業務時間の割合が増えていることもあり、居住者が意識を変え、ルールを遵守することは、労働時間を短縮でき、管理費用を抑制できる要因となります。 仕様書の見直し案として、日常清掃員と管理員を別々に配置している場合は、業務内容
を整理して効率化を図る余地があります。「コミュニケーションや温かみがなくなる」という懸念の声もありますが、管理員の受付業務もDX化により効率良くなる可能性があります。飲食店でタッチパネル注文や配膳ロボットが導入されているように、マンション管理でも受付やアンケート実施等にこのシステムを取り入れることで効率が上がります。
その他、設備点検の回数や清掃内容・頻度を精査することも管理費用を適正化することに繋がります。他の管理会社の見積もりを取得して比較することを含めて、管理委託契約の見直しを管理組合役員だけで実施するのが難しい場合は、一時的に費用はかかりますが、専門家にコンサルティングを依頼するのも有効な手段です。